「2016年9月の読書リスト」

今月、我が家に最新鋭のBDレコーダーがやってきた。今まで使っていたレコーダーのDVDディスクが壊れたので買い換えたのである。

今まで使ってきたレコーダーは、今まで使ってきたテレビが故障し、5年前に液晶テレビ(人生初の液晶テレビである)とともに購入したマシンである。当時は単純に「画面がフツーに映ればいいや」と思っていたので、性能面は全く考慮しなかった。その頃登場した最新鋭のテレビは「ネット対応」を謳い、テレビでもYouTubeを楽しめることをウリにしていた。その時はネット上で動画を楽しむのはPCだと思っていた私は、最新鋭機ではなく普通のテレビを買った。もちろんBS・CS放送を見るつもりもなかった。

ところが、私が購入したレコーダーはチューナーが1つしかなく、録画したい番組が重なると、どちらかをあきらめなくてはならない。そういうことはしょっちゅうだった。録画できる時間も「3倍モード」で25時間分(5年前の製品は「GB/TB」ではなく、「時間」で収録可能時間を表示していた)しかなかった。そのため残しておきたい番組がたまると、その都度DVDにダビングしなくてはならず、DVDプレーヤーに過剰な負担がかかった。繰り返されるダビングにDVDプレーヤーは悲鳴を上げた。2年前に故障して一度部品交換をしてもらったが、今回の故障は家電量販店が設ける「長期保証期間」ギリギリのことだったので、それだったら新しいマシンを買おう、という結論に至ったのである。

BSを見るようになると、旧マシンへの不満が増大した。この機械では、BS番組はVHSビデオの画質でしか録画できないのだ。しかも画面はハイビジョンではなく「標準」モードだから、表示される画面の範囲は狭い。チューナーを新しくしたことで表示画面の不満は解消したが、画質の不満は残ったままだった。何しろ、映画のエンドロールに登場する細かい字がきちんと読み取れないのである。だからこの夏に外付けHDD購入して番組を録画して番組を見たとき、その画質の違いに唖然とした。問題は、外付けHDDに録画したBS番組を、新しく買ったマシンにダビングできるのかどうかということだ。それにしてもBS・CSというのは、本当にカネがかかるシステムである。

さて、それでは先月読んだ本の紹介である。

著者 : 古舘春一
集英社
発売日 : 2013-10-04
著者 : 木村草太
講談社
発売日 : 2012-11-22
著者 : 諫山創
講談社
発売日 : 2016-08-09
著者 : 古舘春一
集英社
発売日 : 2014-01-04

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「2016年5月の読書リスト」

今年も6月がやってきた。今週、気象庁は九州から東海地方が梅雨に入ったことを告げた。既に沖縄は梅雨に入っているが、震災の後遺症から未だに立ち直れない熊本県民にとっては、この上なく鬱陶しい梅雨になることは確実だ。全ての被災者が、仮設住宅には入れるのはいつになるのだろうか。自分の住んでいるところが、あれだけの大規模震災に見舞われたらと思うとゾッとする。

話は変わるが、自宅にBSを入れてみた。ただでさえカツカツな生活なのに、お前は何を考えているのかと当初は文句を言っていた母だが、自分の好きな韓国ドラマを見放題と知ったとたん態度が変わり、今では夢中になってテレビを見ている。

確かに、BSの世界は面白い。だがこの世界は、私みたいな「経済弱者」には実につらい。面白そうな番組は、それなりの視聴料(2,000円~税抜/月)を払わないと、見ることができないチャンネルが多いからだ。また提供されるチューナーも、USBケーブルで接続できるレコーダーがないと、全くの役立たずである。録画して再生するとき、レコーダーが古いと、画面がハイビジョン(以下HV)幅にならない(いわゆる「標準画質」)。最近はチューナーの性能がアップしたので、旧式レコーダーでもHVで再生できる。だが画面幅がHVになるだけで、画質が向上するわけではない。テレビの画面設定を調整するだけでは限界がある。本来の画質を堪能するためには、外付けでもいいからハードディスク(以下HDD)を買わないといけない。

つい先日、私はお金を貯めて外付けHDDを購入し、付属のUSBケーブルをチューナーに接続して番組を録画・再生したところ、現在使っているレコーダーで再現される画質とは比べものにならないほどきれいな画面だった。さすが最新鋭のHDはすごいな…と思っていたら、購入してたった一週間で、HDDの調子がおかしくなってしまったではないか!再起動を繰り返し、チューナーの接続をし直しても、いっこうに不調から立ち直る気配がない。

原因として考えられるのは、室温・湿気(この二つは。PC及びその関連部品の大敵である)が前日より上昇したため、基板内の温度が高くなって働きが悪くなったこと、長時間(といっても数分~長くても2時間ほど)複数番組を同時に録画していたこと、録画しながら録画済みの番組を再生していたことだろうか。それ以外に思い当たる理由がなく、もちろん乱雑に扱ったことはない。前日までサクサクと動いていたので、誰かが細工した可能性もない。まさか工場から出荷~店舗に搬送される途中で落下した製品が、そのまま私の手元に来たのだろうか?疑えばきりがないが、はやく元に戻ってもらいたい。これ以上の出費は勘弁して欲しい…

…と思っていたのだが、夜になって、気温が低くなったからか、それとも冷房が効いてきたのか、やっとHDDの調子が戻った。だが本日録画したドラマ・映画は画像が乱れたまま録画されたため、泣く泣く消去することになった。その中には、いつ放送するのかわからない作品もあるから、心理的ダメージは大きい。「夏バテ」する機械なんて、人間みたい…なんて、冗談じゃない。その後も、同時録画していた映画が、途中で録画できなくなったりとトラブル続き。その後も、HDから異音が出る度に心臓が痛くなったりだったが、とうとう我慢の限界がやってきた。見たいアニメが同じ時間帯に放送されるので録画設定したところ、再生された番組は二つとも短時間しか録画されなかったのだ。結局購入店に相談の上、新品と交換してもらうことに。その後Webを見たら、製造元のサポートセンターについての不満が出るわ出るわ…あああ、早くお金を貯めて、本機レコーダーを買わないと。

さて、先月読んだ本の紹介。

コミックが多かったのは、膝を痛めて毎日のように通院しており、通院先に置いてある作品を読む時間があったからだ。

 

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「2016年1月の読書リスト」

あ・あ・あ……や〜れやれ、という感じである。

TPP推進など、安倍内閣の経済政策の司令塔として動いていた甘利明・内閣府特命担当大臣が、不祥事で大臣辞任に追い込まれた。不祥事の規模からいっても、これまでだったら内閣総辞職レベル、それでなくても衆議院を解散してもおかしくないほどの大スキャンダルなのに、なぜか「内閣支持率」の数字が上がっているというのだから、本当にわけがわからない。国民は、本当にこの政権の政策を支持しているのだろうか?それとも夜ごと安倍と会食している「大メディア」幹部の以降を、現場の記者が忖度した結果なのだろうか?前者だったら、戦後70周年書けて政府が施してきた愚民化政策の成果であり、後者だとしたら、メディアの堕落腐敗ぶりもここまで来たのか、と嘆息せずにいられなくなる。

それでは野党や市民運動サイドはどうなのか…というと「頭にくる」を通り越し、ただただ絶句するのみである。

野党五党(民主・維新の会・生活・共産・社民。もちろん「おおさか維新の会」は野党じゃないからね)は、この夏に行われる参議院選挙で「野党統一候補」を擁立して、安倍政権に対抗するといっている。だがその中心となるべく民主党の姿勢が、いつまでたっても定まらない。参議院選の最大のテーマは、誰がどう見ても「改憲」「反原発」のはずである。ところが新潟では、一度「野党統一候補」を建てるつもりで動いてはずの民主党が、態度を一転して自党から候補を擁立することを決めてしまった。その背景には、原発再稼働に固執する電力労連の意向を受けた「連合」が、脱原発を公約に掲げる候補者の支援を拒否したからだ。心ある一は安倍総理を「KY」というが、本当の「KY」はこいつsらなのでは?と思ってしまう。

そして市民運動の側を見たら、こちらも「何だかな〜_| ̄|○」と、こちらの気持ちが萎えてしまいそうな記事を見てしまった。

こちらの記事では瀬戸内寂聴とSEALDsのメンバーが対談しているが、どう見ても彼らには弱者に寄り添う姿勢が見えてこない。

「自分たちは社会に役に立つ活動をしていまーす!うふふっ」

という雰囲気漂うこの対談、瀬戸内寂聴はしきりに恋愛を話題にしているけれど、貧乏な男性にとっては戦争があろうとなかろうと、恋愛する権利も余裕もないのだよ。彼女たちには、自分たちよりも生活レベルも知性も低い男性のことなんか、おおよそ眼中にないだろう。安倍内閣の支持率がなかなか下がらないのも、低学歴層がインテリ層に対する恨み辛みを、安倍政権が晴らしてくれると思っているからに違いない。彼らにとっては「反戦」よりも「バカにされてきた自分たちの自尊心を回復すること」を優先するのだろう。

さて、先月読んだ本の紹介。

先月はそうでもないが、ここ最近は経済や自然科学、そして哲学に関心がある。来月以降は、これらの分野の本を紹介することが多くなるだろう、と宣言しておく。

生きさせろ! 難民化する若者たち生きさせろ! 難民化する若者たち

読了日:1月1日 著者:雨宮処凛
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈中編〉 (ハルキ文庫)時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈中編〉 (ハルキ文庫

読了日:1月3日 著者:眉村卓
戦争に強くなる本 入門・太平洋戦争―どの本を読み、どんな知識を身につけるべきか戦争に強くなる本 入門・太平洋戦争―どの本を読み、どんな知識を身につけるべきか

読了日:1月9日 著者:林信吾
紛争の心理学―融合の炎のワーク (講談社現代新書)紛争の心理学―融合の炎のワーク (講談社現代新書)

読了日:1月13日 著者:アーノルドミンデル
セックスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業セックスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業

読了日:1月14日 著者:マリナアドシェイド
恋よりブタカン!: 池谷美咲の演劇部日誌 (新潮文庫nex)恋よりブタカン!: 池谷美咲の演劇部日誌 (新潮文庫nex)

読了日:1月20日 著者:青柳碧人
モア・リポートNOW〈3〉からだと性の大百科 (集英社文庫)モア・リポートNOW〈3〉からだと性の大百科 (集英社文庫)

読了日:1月25日 著者:モアリポート班
ちはやふる(30) (BE LOVE KC)ちはやふる(30) (BE LOVE KC)

読了日:1月26日 著者:末次由紀
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈後編〉 (ハルキ文庫)時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈後編〉 (ハルキ文庫)

読了日:1月30日 著者:眉村卓
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生きさせろ!難民化する若者たち

リストに登録していると思っていたけど、登録していなかったので改めて登録する。よって、今年最初にに読了した本でないことを、あらかじめお断りしておく。

今から9年前に発行され、後に文庫化(ちくま文庫)されたが、今の雇用情勢は当時より悪化している。本書では「労基署は何もやってくれない」と訴えているが、今や労基署の窓口で失業者に対応する職員も、そのほとんどが「非正規社員」である。安倍政権は発足以来、国会で「自民党政権になって以来、雇用情勢は回復している」と強調するが、雇用が増えているのは「非正規社員」であり「正社員」は減少傾向が止まらない。工場の多くが非正規社員になったことで、日本企業の技術力は完全に失われた。

とある投資家が「日刊ゲンダイ」に執筆しているコラムで

「スーパーの『ダイエー』が凋落したのは、人件費を削ったからだ。パート社員が売り場の主力を占めていたのに、彼ら彼女らの勤務時間を削ったために、彼らは一斉に退職した。結果として売り場が荒れ、それが業績低迷につながった」

と書いていたが、その通りだと思う。正当な仕事に見合う真っ当な評価を下す経営者が増加しない限り、日本経済の復活はありえないと思うのは、私だけではあるまい。

時空(とき)の旅人-とらえられたスクールバスー

(中巻)

この本も登録が今月になっただけで、年末ギリギリに読了している。

本作は、‘70~’80年代にかけて一世を風靡したSF作家・眉村卓の作品の一つである。

スクールバスを乗っ取った少年曰く「性能の悪い」タイムマシンをつけたスクールバスは、昭和15年で特高警察にマークされている大学助教授が新たにメンバーに加わり、幕末動乱期→関ヶ原の戦いを経て、少年が目指す戦国時代に到着した。そして、じょじょに明らかになる「時間管理局」の実態。管理局員の本当の狙いは、少年の追跡以外に何か目的あるのではないか?と思わせる描写があちこちにちりばめられている。そして彼らが到着したのは、日本人なら誰でも知っているはずの歴史的大事件だった。彼らは時間をさかのぼる途中でとある武士と知り合い、その時代まで一緒に同行することになるが、彼の狙いはこの大事件を阻止することにあった…。

「戦争に強くなる本 入門・太平洋戦争―どの本を読み、どんな知識を身につけるべきか」

ひょっとして「この本も、リストに入れていなかっただけだろう?」と突っ込む来訪者のみなさんへ。はいそうです。この本も、リストに入れてませんでした_(_^_)_

この記事にもあるとおり、本書では小林よしのりをクソミソに貶している。それでは当の本人は反省しているのかというと…このブログ記事を見る限り、どうもそのようには見えない。彼がそもそも安倍政権がしゃかりきになって制定した「安保法制」に反対したのは「英米と一緒になって侵略戦争に加担するのがイヤ」なのであって、戦争そのものを否定しているわけではなさそうだ。北朝鮮が核武装に固執しているのは、あえてここではいわないでおく。だがその視点が小林だけでなく、安倍政権や「安全保障専門家」から窺えないのはどうしてか?安倍晋三は北朝鮮問題について聞かれる度に、なんとかの一つ覚えのように「対話と圧力」と答える。しかし端から見ると、この政権は北朝鮮と一戦交えたいという狙いがミエミエで、考えるだに怖ろしくなる。ミサイルを発射し、狙い通りに北朝鮮の政権が崩壊したとしよう。だがその結果何が起こるのか?その視点がまるでないのが一番怖いのだ。

紛争の心理学ー融合の炎のワーク

ここから、今年読了した本になる。

この本は「心理学」というタイトルがついてはいるが、本書で取り上げられている内容は、従来の「心理学」だけではなく、社会学・政治学・人類学・文化学・ジェンダーなど複数の視点を持たない読者には、理解するのは困難である。本書が発行された時期が、あの忌まわしい事件「9.11」直後ということもあり、書店でこの本を手にとってページをめくったり、興味を持って購入した人も多いだろう。私もその一人である。

彼は本書では繰り返し「対立が厳しい世界こそ対話が必要だ」と説く。彼は世間で「テロリスト」と呼ばれている人たちについて「社会で抑圧されている人々」と表現し、彼らから「敵」と認定されている我々は、彼らから見れば強い立場にある人間である事を忘れてはならないと主張する・そして対話を主導する立場にある人も、強い立場にある事を忘れてはいけないのだと述べる。おそらく世界中でテロ事件を起こしている「イスラム国(IS)」も、おそらく「自分たち以外の人間はみんな敵だ」という論理で行動しているのだろう。彼らとの対話が成立するのかは、はっきり言ってわからない。だからこそ彼らみたいな人間を、本気で対話の席に引っ張り出す手段を考えるべきなのだ。報復爆撃だけでは、この争いが終わることはないだろう。

セックスと恋愛の経済学

経済学の理論を用いて「SEX」と「恋愛」行動について読み解こうという、野心的な経済学の本。日本では「草食男子」「肉食女子」という概念が定着して久しいが、海の向こうでもそうだったのね。そして、男子に一定の経済力を求めるのも万国共通なのね。私みたいな「中年フリーター」は、読んでいて精神が鬱状態になってしまったわい。恋愛傾向が人種によって大きく違うのは「ああ、やっぱりね」と思ってしまう。経済力が高い階層ほどいい教育を受けられ、低ければ低いほど、まともかつ真っ当な教育を受ける機会が低い現実を、この本でもイヤというほど認識させられる。だが残念ながら、この本では「貧乏な人間が、どうやって恋愛を楽しめばいいのか」という視点では書かれていない。貧乏人は恋愛を楽しむな、ということなのだろうか。

恋よりブタカン~池谷美咲の演劇部日誌~

「浜村渚の計算ノートシリーズ」でおなじみの青柳碧人による新シリーズの2冊目。なぜ2冊目を紹介するのかというと、ただ単に1冊目が地元の書店で手に入らなかっただけ。「GOSICK」(桜庭一樹)の大ヒット以降、ミステリー×ラノベの分野にまたがる作品が多数見られるようになったが、本作もその流れを汲む一つである。本作の舞台は高校の演劇部、この設定は大ベストセラー「幕が上がる」を意識したものだろうか?作中においてふんだんに演劇用語をちりばめているが、その割に心の中に響いてこないのはどういうわけか?肝心のミステリーの推理も、どこか唐突感が否めないんだよな。それなりに伏線をはってはいるけれどね。

モア・リポートNow(3)からだと性の大百科

モアリポートNow三分冊の最終刊。先に刊行された二巻が「社会学」的な雰囲気を持っているのに対し、こちらは入門者向けの医学書という雰囲気を持っている。生理のメカニズムとリズム、妊娠、中絶、そして性病のこと。女性ですら先記のことをよくわかっていないのだから、異性である男性はなおさらだろう。「性病」の項目で、AIDSについて詳述しているところに時代性(本巻の刊行は1987年)を感じる。今でこそエイズとのつきあい方が判明しているが、この時代は「死に至る病」と認識されていたのだ。後半に収録されている、女性特有の悩みに専門家が回答する項目では、人によっては「上から目線だ」と感じる人も多いだろう。書籍版刊行から約30年経過したが、女性が抱えている問題も、そして彼女らが抱える理解しようという姿勢を見せない男性が相変わらず多いという事実を、男性は同理解したらいいのか?とはいえ恋愛に興味を示さない(したくてもできない)男性にとっては、これらの問題は他人事としか感じないだろう。

ちはやふる(30)

2016年初のコミック。

今春に「上の句」「下の句」の二本立てで映画化される本作も、いよいよ30の大台に到達した。真冬であるにもかかわらず、真夏に開催されるイベントのことについて書かれた作品を読むことに違和感を覚えるというヤボはいいっこなし。高3になる千早たちにとって、今度の大会が仲間たちと迎える最後の大会。千早の顔には、自分たちが後輩たちのために道を切り開くんだという意気込みや、本来ならいるべき人間がそばにいない寂しげな表情が垣間見える。そして本巻は「かるた=文化系」であるというイメージを見事にぶち壊してくれる場。「競技」という二文字がつくだけあり、そのトレーニング内容は運動部顔負けのメニューがてんこ盛り。そして迎えた準決勝。その結末やいかに?

時空(とき)の旅人-とらえられたスクールバスー

(下巻)

ハラハラドキドキの展開が続いていたこの物語も、この巻をもってめでたく決着。このままだと、大事件として語り継がれるはずの出来事が「なかったこと」にされてしまう。それを避けるべく東奔西走する主人公たちだが、思わぬ自体が彼らを待っていた。「事件が起きなかった」時間軸から「時間管理局」メンバーに襲撃され、彼らは窮地に陥る。命からがら逃げ回る彼らに、思わぬところから救いの手が差し伸べられる。交錯する時間軸の前に混乱するメンバー。事件は解決するが、時間軸がずれたことで、彼らが負われる原因となった人間が「いなかった」ことになる。そしてやってくる別れの時。戦国時代に残ったメンバーが、その後どんな人生を送ったかはあえて明記されないが、その選択に後悔はないということを信じたい。現代に無事帰還したメンバーは、現代だったらネットで袋だたきに遭うだろう。作者が今同じテーマを取り上げたら、たぶん結末は違っていただろう。

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「2015年10月の読書リスト」

気がつけば、今年もかレンダーがあと2枚という時期になった。本当にあっという間である。

「あっという間」といえば、この国の「戦前化」も急スピードで進んでいる。先日も某書店チェーンが企画したフェアに「ネトウヨの抗議が殺到し、フェアが中止になる事態に追い込まれた。新聞を見ていたら、戦前の様子を知る人が

「言論統制は『上から』ではなく、国民が上の意向を忖度することからはじまる」

という趣旨のコメントを出していたが、これは本当だと思う。戦後に戦線拡大の責任を問われた旧日本陸軍幹部が

「君たちがさんざんあおったからではないか」

と答えたそうだが、これは本当だと思う。今の風潮に、メディアが手を貸しているのは間違いない。

それでは、先月読んだ本のご紹介。

先月は結構読んだな。

集団的自衛権はなぜ違憲なのか (犀の教室)集団的自衛権はなぜ違憲なのか (犀の教室)

読了日:10月3日 著者:木村草太,國分功一郎
早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした

読了日:10月4日 著者:小林拓矢
モア・リポート―新しいセクシュアリティを求めて (集英社文庫)モア・リポート―新しいセクシュアリティを求めて (集英社文庫)

読了日:10月13日 著者:
美しい国へ (文春新書)美しい国へ (文春新書)

読了日:10月20日 著者:安倍晋三
ちはやふる(29) (BE LOVE KC)ちはやふる(29) (BE LOVE KC)

読了日:10月21日 著者:末次由紀
楽園のカンヴァス (新潮文庫)楽園のカンヴァス (新潮文庫)

読了日:10月27日 著者:原田マハ

集団自衛権はなぜ違憲なのか?

「報道ステーション」コメンテーター(月曜日担当)でおなじみの、新進気鋭の憲法学者による最新刊である。筆者はこの本では、安倍内閣が推し進める「安保法案」の危険性について、わかりやすい言葉で解説している。「本を燃やそうとしている人間は、いずれ自国の憲法を燃やそうとするだろう」という言葉にはゾッとさせられるが、この内閣がこのまま安保法制を強引に推し進めようとすると、早晩国内外で立ちゆかなくなるのは、火を見るより明らかなことである。「法的解釈の安定性」についての意見は必読。この概念を否定するということは、条約の解釈すら自分たちの都合のいいように解釈する可能性もある。それは諸外国との外交関係にも重大な齟齬を来す可能性にもつながるということを、筆者は指摘する。だがほぼ全員が「知性を持つ者」に反感を抱くこの政権は、自分たちの都合の悪いところにはとことん頬被りを決め込むだろう。「この道はいつかきた道」にならないことを祈るしかない。

早大を出た僕が入った3つの企業は、すべてブラックでした

自らのことを「氷河期世代を代表するフリーライター」と自称するライターの、初めての単著である。

ただし、これを今問題の「ブラック企業で働き、身も心もボロボロになって退職した人間が書いたルポルタージュ」と思って読んではいけない。「自分は苦労して早稲田を出たのにまともなところに就職できず、生活のためにやむを得ずこんなちんけなところに就職した。だがそこは自分が思っていた会社ではなく、周りがバカだから自分の考えている仕事が何一つできない。だから悪いのは自分ではない」という恨み辛みを、延々と書き連ねているだけの駄本である。「ブラック企業」と思っているのは本人だけ、むしろ私は、彼みたいな人間を「一人前の社会人」に育成しようと奮闘していた、上司や先輩の苦労はいかばかりかと思ってしまうのである。====

モア・リポートー新しいセクシュアリティを求めて

先日このブログでも紹介した「モア・リポートー女たちの生と性」の後半。このアンケートには、5,000人を超える読者から回答が寄せられた。この本からは、彼女たちが「性」について思うところを、自分たちの言葉で赤裸々に語っている。興味深いのは「オーガズム」についての部分。彼女たちの意見を読んでいると、巷に溢れている官能小説の性表現が、以下に陳腐でいい加減であるかということが実感できる。オトコが想像する「性」とオンナが実感する「性」とのギャップ。そして彼女たちの多くは、世間や多くの男性が求めているものと、自分たちが求めているものとのギャップに苦しんでいることがわかる。初回のアンケートから30年あまり。この企画に協力してくれた女性たちは、30年前の自分をどう思っているのかを知りたい。

美しき国へ(2006年版)

現総理・安倍晋三の第一次内閣発足時にあわせて発行された新書。現職の総理大臣がこのような新書を出すのは極めて異例であり、当時はかなりの売れ行きがあった。時の総理が何を思い、現状をどう認識しているのかをしりたくて買った人が多かったと思うのだが…この本で書かれている内容に失望した人は多かっただろう。彼の思考を一言でまとめれば「日本大好き、祖父大好き」。時代はグローバル化が進んでいるのに、今だ「国ありき」という思考回路。経済でも環境でも「一国」だけで解決できない時代を迎えつつあるというのに。それにしても、この本で書かれていることと、国会答弁における対応があまりにも違いすぎる。この本は「俺は世間一般でいうところの『極右』じゃない」とアピールするだけに存在している?だとしたら、ネット上における評価が両極端なのも納得。

ちはやふる(29)

表紙にヒョロがでていることからもわかるように、この巻は「ヒョロの、ヒョロによる、ヒョロのためのエピソードが満載である。自らが弱いと自覚しているからこそ、下級生の心に寄り添い、彼らを一人前の戦力にする。彼の存在は「リーダーのあるべき姿」といえるかも知れない。そして「札全部が真っ黒に見える」といっていた太一にも復活の兆しが。だがかるた部をああいう辞め方をしたことが彼の負い目になっているようだ。千早たちに勝利の女神が彼らに微笑んだのは、まさに奇跡としか言い様がないが、このままでは全国大会で赤っ恥をかくのは確実。ここからどうやってチームを立て直していくのだろうか?そして詩暢の「かるたのプロになりたいんや!」という叫びが痛々しい。彼女の願いが叶えられますように。

楽園のカンヴァス

19世紀フランスの画家アンリ・ルソーの晩年の傑作「夢」にまつわる背景を主題にしたミステリー小説。ルソーが描いたという絵画「夢を見た」の真贋鑑定を、絵画コレクションの世界で有名なコレクターから依頼されたのは、新進気鋭のルソー研究者とMoMA(ニューヨーク近代美術館)のキュレーター。果たしてこの絵はルソーの作品なのか?はたまた何者かがルソーの名を借りて描いた作品なのか?そして、この依頼をしたコレクターの正体は?

著者は大学で美術史を専攻し、美術館の楽ゲインを経て森美術館の立ち上げに関わり、その課程でMoMAに出向経験があるため、美術館やコレクションの裏事情もふんだんに盛り込まれている。解説を担当した高階秀次氏によれば、古来から美術品は窃盗団のターゲットにされやすかったとのこと。現在「行方不明」とされている作品の多くも、彼ら「闇マーケット」関係者の間でやりとりされているのだろうか?

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「2015年6月の読書リスト」

どうやら国民も、安倍政権の正体に気がついたようだ。

きっかけは国会の憲法調査会で、自民党推薦の憲法学者が「今国会に上程されている『安保法案』は憲法違反である」と明言したこと。

これをきっかけに、憲法学者を中心にありとあらゆる学者が「安保法制反対」の声を上げはじめた。

さらに自民党国会議員らが、党内で開催した勉強会で「沖縄のメディアは『左翼』に乗っ取られている」と発言したことで、反安倍政権の声がヒートアップした。

国民は「戦争法案阻止」に向けて動き回っているが、政権サイドには彼らの意見に耳を傾ける姿勢が見られない。

意地でも彼らは法案成立に向けて突っ走るらしいが、そうなったらどうなるのだろうか?’60年安保の再来ということはありえないと思うが…

というわけで、先月読んだ本のご紹介。

トマ・ピケティの新・資本論トマ・ピケティの新・資本論

読了日:6月3日 著者:トマ・ピケティ
イニシエーション・ラブ (文春文庫)イニシエーション・ラブ (文春文庫)

読了日:6月4日 著者:乾くるみ
オシムの言葉 (集英社文庫)オシムの言葉 (集英社文庫)

読了日:6月8日 著者:木村元彦
ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)

読了日:6月15日 著者:三上延
ニセコイ 17 (ジャンプコミックス)ニセコイ 17 (ジャンプコミックス)

読了日:6月17日 著者:古味直志
哲学散歩哲学散歩

読了日:6月23日 著者:木田元
数学ガールの秘密ノート 式とグラフ数学ガールの秘密ノート 式とグラフ

読了日:6月24日 著者:結城浩

1.トマ・ピケティの新・資本論

大ベストセラー「21世紀の資本(以下「資本」)」の著者が、2005年~14年に、フランスの中道左派系日刊紙「リベラシオン」に掲載してたコラムをまとめた書籍である。皆様ご存じの通り、彼の代表作「資本」は700pを超える大著の上、書かれている内容があまりにも一般人に理解することが難しいといわれていることから、彼の根本的な主張を理解するためにこの本を読んで見た。

一言で言えば、彼が「資本」で主張していることは、10年以上前からの持論である事がこの本を読めば理解できるだろう。富裕層に対する課税を強化すべきだという彼の意見は、事ある毎に繰り返し出てくるところから見ると、この問題は彼のライフワークというべきかも知れない。このほかにも法制度の不備、多数の問題を抱える教育制度、国内左派のていたらくなど、日本でずっといわれている問題と共通するところがあり、これらの問題は人種も国家も関係なのだということが理解できるかも知れない。

2.イニシエーション・ラブ

初版本が出たのは10年前だが、今月映画化されたことで、再びネット上で注目されている恋愛小説。当ブログでも取り上げたので、詳細はこちらを参照して欲しい。ネット上での評価は「オンナは怖い」ということ。ヒロインの悪女っぷりを非難する意見が圧倒的多数だが、なぜ彼女がこういう女になったのかを指摘する読者はほとんどいないため、当ブログではあえてヒロイン擁護の記事を載せてみた。付き合っている男があんなDV気質だったら、そりゃオンナだって他の男に走るわ。それなのに、その原因を作った男には「自分が悪い」という感覚がないのだから、本当に腹が立つ。でもこういう男って、悠々と人生を送るんだよな。====

3.オシムの言葉

ジェフ市原(現:ジェフ千葉市原)の監督として、日本サッカー界に旋風を巻き起こし、その功績が認められて2006年にサッカー日本代表監督に就任したイビチャ・オシムの半生を記したルポルタージュ。彼の一見穏やかだが、ずばりと本質を突く皮肉な言い回しは、彼が体験してきたことが影響している。旧ユーゴスラビア代表での、選手起用における様々な圧力をはねつけるには、相当強靱な精神力が必要だったはず。有形無形の圧力をものともせず、彼は代表の勝利のために全力を尽くす。凄惨極まりない内乱下での状況を生き抜いたのは、ただただ運がよかっただけとしか言い様がない。多種多様な民族が曲がりなりにもうまくいっていたい制度を壊した独裁者を、私は心の底から憎む。体調不良のために日本代表監督を退任せざるを得なかったが、もし彼がこのまま監督をしていたら、サッカー日本代表の行方は違ったものになっていたはずだ。なお、この本は改訂版が出る前のものである。

4.ビブリア古書堂の事件手帳ー栞子さんと奇妙な客人たち

テレビドラマになるほど話題になった作品であり、気になりつつもなかなか読む機会がなかった。一読して「面白い」と思った。何よりも、古本屋業界の内部事情がわかって興味深かった。部外者から見れば「たかが古本一冊」であっても、その本には前の持ち主の人生が詰まっている。前の所有者は、どんな思いを残してこの本を手放したのかを考えながら読み進めるのも一興。それにしても、ヒロインはあんな性格で、よく接客業ができるものだと感心してしまう。そして、コレクターの狂気ほど怖ろしいものはない。部外者からしたら「たかが一冊」なのだろうが、ファンからすれば「されど一冊」。とはいえ、コレクションのために他人を傷つける神経は、私には理解不能である。

5.ニセコイ(17)

「やくざの息子と米国マフィアの娘が、お互いの組織のために3年間『偽の恋人』を演じる』という、まるで戦国時代の政略結婚みたいな設定にドン引きし、アニメ二期の第1回を見なかった本作品。それでも「食わず嫌いはよくない」と思って第2回を見たら…これが面白いのなんのって。同時期にBS放送局「アニメシアターX(AT-X)」で第一期が放映されていたので、こちらもあわせて視聴してみたら…うん、いいわこの世界。第一印象が最悪で、お互い「3年間限定、それもこれも実家のため」と割り切っていたのに、時間の経過とともにヒロインは本気で相手に恋心を抱くようになる。最新刊は修学旅行で、ヒロインがこっそりと「彼氏」のところにお忍びで出かけていく。その表情がかわいい。年頃の女性は、恋をすれば変わるというのは本当なのだな。 さてこの二人の恋は、いったいどう変化するのでしょうか?

6.哲学散歩

メルロ=ポンティの哲学を平易な翻訳で日本に紹介するとともに、ハイデガーフッサールの思想研究で知られる哲学者・木田元の最後の著作である。古代ギリシャから現代哲学までの通史を、エッセイという形式で綴られたこの本である。著者の文体からは、穏やかな性格と豊かな教養、そして多彩な視点が垣間見える。自分もこのような文体をものにしてみたいなと思っているが、かなり頭がよくないと難しいだろうな。哲学と自然科学及び宗教学は密接な関係があるが、この本に収録された話で一番印象に残ったのは、自説を曲げなかったばかりに宗教裁判にかけられ、10年近くも牢獄に入れられたあげく、火刑台で火あぶりにされたイタリアの哲学者ジョルダノ・ブルーノの話。教会から見たら異端と思われる学説を片っ端から弾圧する17世紀という世界は、政権与党の勉強会で「(自分たちの意見に反対する)マスコミを懲らしめなければ」と発言する議員が跋扈する現代と重なっているように思えるのは私だけか?

7.数学ガールの秘密ノート 式とグラフ

大ベストセラーシリーズ「数学ガール」の入門編というべきシリーズの第1巻。「数学ガール」で扱っている内容はかなり高度なものであり、理解するにはよほど数学が好きであるか、論理的な思考能力が必要である。実際私も同シリーズの第1巻を読んでみたのだが、そこに記載されている数式は高度すぎて理解できず、後半は数式をほとんど流し読みし、登場人物の会話を理解することに注力していた(それでも、かなり難しいのだが)。

今巻では高校数学のすべての基礎となる「式とグラフ」の概念を易しく解説している。数学ガール本編と比べて丁寧に解説されているとはいえ、ここで解説されている内容を完全に理解するのには、高校数学の基礎の概念を理解する必要があることに注意して欲しい。「数学で展開される論理的思考とはなんぞや」「登場人物のやりとりを、純粋に楽しみたい」と思っている人以外は、手を出さない方が無難かも知れない。

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2015年3月の読書リスト

今月から物価が上がった。

買い物のレシートを見る度、消費税の金額を見てため息をつく。まさに消費税は「悪魔の税金」である。値段が高くなったのに、クーポンの割引は半分に削られる。それもこれも、庶民の生活に興味がない為政者が悪い。それでいて、庶民が選挙で自分の意思を見せることもない。こんなこと、他の国では考えられないだろう。「日本の民主主義は12歳」だといったのはマッカーサーだったが、この発言が出たのは70年近く前のこと。安倍政権の独裁を許している現在では、日本の民主主義は12歳どころか、幼稚園レベルに後退しているだろう。野党もメディアもそしてNGOも、誰も彼も信頼できないし信用できない。「選挙」という合法的な手段で歴史的な政権交代を果たしてからわずか5年で、日本は暗黒時代に突入した。こんな時代になろうとは、誰が想像し得たか?権力者と、それを影で操る復古主義者の高笑いが聞えてきそうで胸くそが悪い。この憤りを、どこにぶつければいいのだろうか?弱者の声が、権力者に届くことはあるのか?

演劇最強論演劇最強論

読了日:3月4日 著者:徳永京子,藤原ちから
紙つなげ!  彼らが本の紙を造っている紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

読了日:3月5日 著者:佐々涼子
(ブレインズ叢書1) 「批評」とは何か? 批評家養成ギブス(ブレインズ叢書1) 「批評」とは何か? 批評家養成ギブス

読了日:3月11日 著者:佐々木敦
本棚にもルールがある---ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか本棚にもルールがある—ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか

読了日:3月16日 著者:成毛眞
ソロモンの偽証: 第III部 法廷 上巻 (新潮文庫)ソロモンの偽証: 第III部 法廷 上巻 (新潮文庫)

読了日:3月20日 著者:宮部みゆき
虚妄の学園―仙台育英学園高校・その歪んだ実態虚妄の学園―仙台育英学園高校・その歪んだ実態

読了日:3月30日 著者:室井助

 

 

1.演劇最強論

ここ最近の演劇界では、個性的な劇団の活躍が目立っているそうだが、その背景としてアニメやサブカルの影響を受けた劇団主宰者の増加があるらしい。この本は、今の演劇シーンを語る上で、絶対に知っておきたい劇団とその主宰者の紹介、これからの円が気を引っ張っていくであろう主宰者のインタビューなどで構成されている。「小劇場の追いかけ」を自認している人には、これらの知識は必須であろう。日本の演劇は、社会運動と密接な関わりを持つという独特の形で発展してきたが、その伝統は今も健在なようで、現代日本の社会風潮に危機感を持つ劇団主宰者は、私が思っている以上に多いということを感じた。

2.紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている

東日本大震災で被害を被ったのは住民だけではない。沿岸にある工場も、また甚大なる被害を受けた。日本の出版業界で使われる紙の4割以上を生産しているという、日本製紙石巻工場も、その中の一つである。被害の惨状を見て、関係者の誰しもが早期復興は困難だと思った。絶望的な状況から、いかにして復活したのか。この本はその道程を記したルポである。恥ずかしながらこの本を見るまでは、日本の出版社が文雇用で使っている紙に、違いがあるとは思ってもみなかった。今度書店を訪れる機会があったら、その違いも確かめて欲しい。====

3.「批評」とは何か? 批評家養成ギブス

筆者が主催している評論家養成講座の講義録をまとめたものだが、そこで展開される内容は哲学的でいささか難解である。作者は以前、批評はもっと平易な言葉で語られるべきだと話していた記憶があるが、実際はかくのごとし。それとも、この程度の論理展開すら理解できない頭しか持たない、自分が悪いということなのだろうか?

4.本棚にもルールがある—ズバ抜けて頭がいい人はなぜ本棚にこだわるのか

書評サイト「HONZ」を主催する成毛真・元日本マイクロソフト社長が書いたユニークな「書棚論」だが、この本をそっくりそのまま受け入れようとしてはいけない。はっきり言ってこの本に書いてあることを実行し、効果が見込めるのは、年収も知識(欲)も、それなりの人である人である。書評サイトを見ると、この本の評価が高いとはいいかねる。むしろ興味深いのは、書評の書き方だろう。ぜひ「書評を書いてみたい」という人は、この本をご参考あれ。

5.ソロモンの偽証: 第III部 法廷 上巻

いよいよ開廷した「学級内裁判」。弁護士サイドは、鮮やかな手腕で被告人有利の流れを作っていく。予想だにしない展開に、目をつり上げて歯噛みする、検察官役のヒロイン。あちこちの書評サイトを見ると「今時の中学生に、これだけの論理展開できるか疑問だ」という感想もちらほら。だが読者が思っているほど、中学生はバカじゃない。口にしないだけで、この世の欺瞞・偽善を彼らなりに感じ取っているものなのだ。問題は彼らが大人になった時、この体験をどう今後の人生に生かしていくか。問われなければならないのはそこだろう。「生意気な中学生だ」と舐めていると、絶対にしっぺ返しがくるに違いない。

6.虚妄の学園―仙台育英学園高校・その歪んだ実態

バブル絶頂期に発行され、仙台では学園関係者に買い占められ、裁判の結果絶版になったという、曰く付きの本である。出版されてから四半世紀経つが、その間も野球部が不祥事を立て続けに起こしていることを考えると、この学校が抱える「闇の部分」は、今もなお続いていると考えるのが正解だろう。この学校だけでなく、スポーツで名前を売ろうとしている地方私学の多くが、この学校と似たような体質を抱えていると思って間違いない。しかしこれだけの疑惑を抱えている私学は、他にあるのだろうか?知名度が高い分だけ、抱えている闇は深そうだ。

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2014年12月の読書リスト

私はこのブログの原稿をScrivener(「スクリブナー」と読む)で書き、それをプラウザでブログの管理画面にログインし、原稿をコピー&ペーストし、文字飾りをして記事をアップしている人間である。ブログ専用のテキストエディターもあるようだが、お金がかかるのでこの方法を用いている。

Scrivenerは日本でも人気のあるソフトであり、学術論文や脚本、小説などを執筆する人が愛用している。だがご存じの方も多いと思うが、このソフトは外国製であり、英語が苦手な人間にとっては取っつきにくいソフトである。管理人もご多分に漏れず英語が苦手であるが、必要最低限の英語は何とか理解できていたので「だいたいこんなことを言っているのだろう」という、何ともおおざっぱな理解で何とか使いこなしていた。

ところがこの年末発売されたMacfanに、このソフトの日本語化アップデーターソフトが紹介されていることを知り、早速ダウンロード&インストール。ツールバーが日本語化されていることを確認し、自分の思うような設定が出来るようになった。ありがたい限りである。

それでは、先月読んだ本の感想をざっと紹介したい。

2014年12月の読書リスト

進撃の巨人(15) (講談社コミックス)進撃の巨人(15) (講談社コミックス)

読了日:12月12日 著者:諫山創
四月は君の嘘(1) (講談社コミックス月刊マガジン)四月は君の嘘(1) (講談社コミックス月刊マガジン)

読了日:12月16日 著者:新川直司
四月は君の嘘(2) (月刊マガジンコミックス)四月は君の嘘(2) (月刊マガジンコミックス)

読了日:12月20日 著者:新川直司
闘うための哲学書 (講談社現代新書)闘うための哲学書 (講談社現代新書)

読了日:12月24日 著者:小川仁志,萱野稔人
ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)ソロモンの偽証: 第I部 事件 上巻 (新潮文庫)

読了日:12月28日 著者:宮部みゆき
ソロモンの偽証: 第I部 事件 下巻 (新潮文庫)ソロモンの偽証: 第I部 事件 下巻 (新潮文庫)

読了日:12月28日 著者:宮部みゆき

進撃の巨人 第15巻

2009年の連載開始から5年あまり。漫画界のみならず、社会や出版業界に影響を及ぼしてきたこの作品も、ようやく真相が見えるところまでたどり着いた。

王政サイドの陰謀により「謀反人」扱いされていた調査兵団。伝説の殺人鬼ケニー・アッカーマン率いる対人制圧部隊、中央憲兵団との抗争に苦しみつつも、分隊長ハンジ・ゾエの機知に富んだ計略、調査兵団の正当性を理解した「ドラ息子」フレーゲル・リーブスの決断により窮地を脱出、クーデターにより王政打倒に成功する。ピクシス指令の狸親父ぶりには舌を巻くが、ザックレー総統が実は「反王制」だったことは意外。そしてこれまでの「王家」とは別の王家が存在し、その王家は104期メンバーの中に存在していたのだ。さらに、その王家はエレンの父親とは意外な因縁があり…。

昨年11月に公開された映画の舞台挨拶で、アニメ2期の制作が発表されたことから、原作も今年中に完結されることが予想される。さて一体、どんな結末を迎えるのだろうか?捕捉されたが供述を拒み、自らを結晶化したアニは目を覚ますのか?ライナー、ベルトルト、ユミルの再登場はあるのか?

四月は君の嘘 第1巻 第2巻

昨年10月から放映されている、同名アニメの原作マンガ。11巻で完結されることが告知されており、アニメも完結まで放映されるそうだ。

主人公は小さい頃から「神童」の名前をほしいままにしながら、その演奏は「人間メトロノーム」「母親の操り人形」「コンクールだけのピアニスト」などと揶揄されるなど、決して評価が高いものだとはいえなかった。彼は「お母さんに喜んで欲しい」一心で厳しい練習を積んでいたが、母の死がきっかけでピアノが弾けなくなり、2年間コンクールから遠ざかっていた。そんなある日、破天荒な少女ヴァイオリニストとで会ったことで、彼の世界は一気に変わっていく…

その少女・宮園かをりはやたらと気が強くけんかっ早いが、寂しがり屋で泣きながら「一人にしないで」と主人公にすがるなど、年相応に少女らしさを見せる。

演奏は素晴らしいものだが、演奏直後に手首が震えていたり、舞台上で倒れて入院したりと、初っぱなから不穏な雰囲気が漂う。

果たして、この二人にどんな運命が待ち構えているのか?====

闘うための哲学書

1970年生まれの二人の哲学者が、一般市民むけに開催された哲学セミナーの模様を収録したものである。

書棚には星の数多ほど「哲学入門」書があふれかえっているが、それらの本がわかりやすかったためしがない。それもそのはずで、これらの本の作者の多くは、自分の知的レベルにあわせて「解説」しているからである。この本もその例に漏れず、語られていることは難しく、理解するのは難しい。だが語り言葉で綴られているので、他の「入門書」よりは理解しやすいだろう。

本書を読んでみると、いかに「古典」が大事である事が理解できるだろう。この本で取り上げられている哲学者の発言の《修飾語の連続》ほとんどは、現代にも通用する、いや、現代人に一番欠けているのが、彼らの思想である事は明白。この本が、世間に急速に広がっている「反知性主義」を止める手段になればいいのだが。

ソロモンの偽証 第一部(上・下巻)

2012年に刊行された、日本を代表するミステリー小説。その待望の文庫本であり、今年の春に映画化が予定されている作品である。

時は日本がバブル景気に沸き浮かれていた1990年のクリスマスイブ、都内のある中学生が屋上から転落死を遂げた。

学校と警察当局は本件をこの事件を「自殺」として処理し、生徒たちも遺族もそれに納得した…はずだった。

ところがこの「事件」は、自殺した担任きょうしとおなじまんしょんにすむしゅふの歪んだ欲望と、自己顕示欲の強いテレビ局「報道記者」の手によって、あらぬ方向に向かいはじめる。関係者の間に電場する疑心暗鬼。それらが積み重なり、学校の雰囲気は一気に重苦しくなっていく。ヒロインは当初「無関係」を装いつつも、父が警察官ということもあり、ひそかに事件の行方を気にしていた。だが彼女にも「報道記者」がせまってきたことから、ついにある決断をする…

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