「2016年11月の読書リスト」

今年も、カレンダーが残り1枚になってしまった。

こんなにわくわくしない年末年始は経験がない。

右傾化し、人種差別が公然とはびこる社会。

縮まるどころか、広がる一方の格差。

少子化の影響で、パイがどんどん小さくなる経済。

ワカモノはワカモノで、自分の行動がどんな影響を与えるのかということを考える気配すらない。

マスコミの、政府与党べったりの姿勢は醜い。

知識人やNGOに至っては、自分たちよりもバカな人間、貧乏な人間を小馬鹿にしているとしか思えない。

希望は見当たらず、ひたすら重苦しい空気だけが漂っている。

個人的にいろいろストレスを抱えた結果、先月はとうとう記事を書けずじまい。

まあ、こんな弱小ブログの最新記事を、楽しみにしている奇特な人もいないだろうけどね。

さて、先月読んだ本の紹介。

10月に読んだ本の紹介より先になってしまったことを、当ブログを訪問してくれた人にお詫びしたい。

コミックは、いずれ改めて感想を書く(書けるのか?)。

青の数学

「数学」にとりつかれた高校生たちを取り巻く世界を扱った群像劇。テーマがテーマだけに、ここで繰り広げられる世界を理解できる人は、おそらく数学が好きな人、理系的な思考に長けている人に限られるだろう。世界観も文体も「わかる人だけついてくれればいい。わからないヤツのことは知らん」という雰囲気が滲み出ている。もっとも、この作品の「独特な文体」は、読書界から「クセが強い」と評価される「魔法科高校の劣等生」の作者が織りなすそれとは、次元が全くが異なる(理由はいうまでもない)。本作の登場人物の目標は「数学オリンピック出場」であり、そのために彼らは己の能力を最大限に振り絞る。1対1の決闘形式あり、タッグマッチの対戦ありという試合形式は、スポーツと何ら変わりない。ある少年は問う。「なぜ数学をするのか?」と。そもそも、この問いには正解というのがないのかも知れない。「マニュアル」という概念が隅々まで浸透したことで、人々は手軽に「正解」をほしがるようになった。だが彼らにとって「数学」とは「生き方」そのものなのだと思えるのである。「人生」に正解などないということを、作者は一番訴えたいのかもしれない。

社会学がわかる。

1996年に出版された、大学生向けの社会学入門書。「社会学とはなんぞや?」と聞かれたら、大人たちは何と答えるだろうか?「社会についての学問」と答えても、質問者はおそらく納得するまい。下手をすると堂々めぐりの禅問答のようになり、質問者と回答者の間に軋轢が生じることになる。すると、ある人は「お前だったら、どう回答するんだよ?」と突っ込んでくるに違いない。冒頭に出てくる25人は「学び方」について熱く語っても、多くの読者が求めているであろう「社会学とはなんぞや?」という質問には答えてくれない。その答えは、第二章にあたる項目をご覧いただきたい。女性の社会進出、医療問題、外国人の出稼ぎ、異文化交流、そして青少年が抱える問題。これらの問題は、20年以上前から再三にわたり指摘され論じられているにもかかわらず、解決に至る道筋が見えないと感じるのは私だけではあるまい。我が国おける社会学の第一人者・見田宗介氏は「社会学は『越境する知』である」と書いているように、現代社会を読み解くには、さまざまな角度からの知識が必要である。にもかかわらず、現在の社会学者たちは己の専門という名のタコツボに閉じこもっているのはなぜか?「海外社会学事情」の項目では、この学問の礎が「哲学」に基づいていることがわかるだろう。政治にしろ学問にしろ、今の日本が衰退しているように思えるのは、ひとえに日本人が「哲学」という概念を軽んじすぎたからでは?と思ってしまうのである。

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「2016年5月の読書リスト」

今年も6月がやってきた。今週、気象庁は九州から東海地方が梅雨に入ったことを告げた。既に沖縄は梅雨に入っているが、震災の後遺症から未だに立ち直れない熊本県民にとっては、この上なく鬱陶しい梅雨になることは確実だ。全ての被災者が、仮設住宅には入れるのはいつになるのだろうか。自分の住んでいるところが、あれだけの大規模震災に見舞われたらと思うとゾッとする。

話は変わるが、自宅にBSを入れてみた。ただでさえカツカツな生活なのに、お前は何を考えているのかと当初は文句を言っていた母だが、自分の好きな韓国ドラマを見放題と知ったとたん態度が変わり、今では夢中になってテレビを見ている。

確かに、BSの世界は面白い。だがこの世界は、私みたいな「経済弱者」には実につらい。面白そうな番組は、それなりの視聴料(2,000円~税抜/月)を払わないと、見ることができないチャンネルが多いからだ。また提供されるチューナーも、USBケーブルで接続できるレコーダーがないと、全くの役立たずである。録画して再生するとき、レコーダーが古いと、画面がハイビジョン(以下HV)幅にならない(いわゆる「標準画質」)。最近はチューナーの性能がアップしたので、旧式レコーダーでもHVで再生できる。だが画面幅がHVになるだけで、画質が向上するわけではない。テレビの画面設定を調整するだけでは限界がある。本来の画質を堪能するためには、外付けでもいいからハードディスク(以下HDD)を買わないといけない。

つい先日、私はお金を貯めて外付けHDDを購入し、付属のUSBケーブルをチューナーに接続して番組を録画・再生したところ、現在使っているレコーダーで再現される画質とは比べものにならないほどきれいな画面だった。さすが最新鋭のHDはすごいな…と思っていたら、購入してたった一週間で、HDDの調子がおかしくなってしまったではないか!再起動を繰り返し、チューナーの接続をし直しても、いっこうに不調から立ち直る気配がない。

原因として考えられるのは、室温・湿気(この二つは。PC及びその関連部品の大敵である)が前日より上昇したため、基板内の温度が高くなって働きが悪くなったこと、長時間(といっても数分~長くても2時間ほど)複数番組を同時に録画していたこと、録画しながら録画済みの番組を再生していたことだろうか。それ以外に思い当たる理由がなく、もちろん乱雑に扱ったことはない。前日までサクサクと動いていたので、誰かが細工した可能性もない。まさか工場から出荷~店舗に搬送される途中で落下した製品が、そのまま私の手元に来たのだろうか?疑えばきりがないが、はやく元に戻ってもらいたい。これ以上の出費は勘弁して欲しい…

…と思っていたのだが、夜になって、気温が低くなったからか、それとも冷房が効いてきたのか、やっとHDDの調子が戻った。だが本日録画したドラマ・映画は画像が乱れたまま録画されたため、泣く泣く消去することになった。その中には、いつ放送するのかわからない作品もあるから、心理的ダメージは大きい。「夏バテ」する機械なんて、人間みたい…なんて、冗談じゃない。その後も、同時録画していた映画が、途中で録画できなくなったりとトラブル続き。その後も、HDから異音が出る度に心臓が痛くなったりだったが、とうとう我慢の限界がやってきた。見たいアニメが同じ時間帯に放送されるので録画設定したところ、再生された番組は二つとも短時間しか録画されなかったのだ。結局購入店に相談の上、新品と交換してもらうことに。その後Webを見たら、製造元のサポートセンターについての不満が出るわ出るわ…あああ、早くお金を貯めて、本機レコーダーを買わないと。

さて、先月読んだ本の紹介。

コミックが多かったのは、膝を痛めて毎日のように通院しており、通院先に置いてある作品を読む時間があったからだ。

 

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2008年に行われたアメリカ大統領選において、民主党候補バラク・オバマが勝利を収めたことに、安堵の声を上げた人はおそらく多いだろう。2001年に発足したブッシュ政権は、「京都議定書」からの離脱宣言に始まり、国際刑事裁判所条約の批准拒否、「9・11」から「イラク戦争」等々、複雑になる一方の国際関係に深刻な禍根を残すのではと懸念される政策を、次々と強行してきた。国内政策においても、2005年8月末にニューオリンズを襲ったハリケーン「カテリーナ」の後始末でも後手を踏むなど、その手腕に疑問を持たれることも多かった。そのため、2009年から発足するオバマ政権は、ブッシュ政権よりもかなりよくなるのではないかという見解を表明する、国債関係学者やメディア関係者は多かったに違いない。だがこの本を見る限り、アメリカに深く根付いた「原理主義」「宗教右派的」な考え方は、オバマ政権になっても簡単に衰えないだろう。なぜなら宗教右派に代表される原理主義者たちは、長期にわたってアメリカ国内世論の「右傾化」に力を注いできたからである。

筆者は、この本で

「左派・リベラル派は簡単に結果をほしがるが、右派とりわけ『宗教右派・原理主義者』といわれる面々は、自分の目的を達成するために時間とお金をたっぷりかけ、徐々に自分の思い通りの結果になるよう世論を導く工作をする」

と指摘する。言い返せば、アメリカがまともな国になるためには、今宗教右派がやっている工作を、左派・リベラル派がやらなければならないのだ、と警告する。====彼ら宗教右派・原理主義者の思考の根底にあるものとして、著者は「聖書(これですら著者から見れば、でたらめでおぞましいものである)」の存在をあげる。われわれは神によって作られたものである、この世の生物は、神によって創造されたものである、と。驚くべきことに、アメリカ国内において、ダーウィンの「進化論」を否定するクリスチャンは、アメリカ国内で6割を超えるという。「進化論」を否定するだけでも問題なのに、彼らにとっては地球温暖化の問題ですら「神が与えた試練」であり、神を信じるものだけが救われるのだと頑なに言い張る。

原理主義者に代表される「宗教右派」と言われる人たちの過激な主張は、公教育の現場に「聖書」を教えるよう要求するだけにとどまらない。科学教育の現場を否定するだけでは気が済まないらしく、科学研究結果のデータですら自分たちの都合のいいように改ざんするよう要求する。実生活においても社会福祉という概念を公然と否定し、上流階級の教育費の増額を要求する一方、下層階級の教育費削減をなんとも思わない。階級格差や人種差別に反対する人たちは、神を信じない人間だから救う必要がない。これが彼らの主張だが、この本を見る限り「宗教」って、いったいなんだろうと思ってしまう。「宗教」は人を幸せにするためにあるものだが、ここでは「自分と違うものは差別の対象」という意味で使われてしまっている。

彼らの主張の成果が、2007年以降全米各地で湧き起こった「ティーパーティー運動」である。2008年アメリカ大統領選における、共和党の副大統領候補サラ・ルイーズ・ペイリンは、ティーパーティー運動関係者から圧倒的支持を受けたものの、いざ選挙戦になると、ペイリンは副大統領としての資質を疑われる発言を連発し、結果的に共和党敗戦の戦犯の一人となってしまった。そのためこの運動は一時期低迷したものの、2014年の中間選挙において、彼らは未だに侮りがたい存在である事を見せつけた。全米を代表する新聞であるニューヨーク・タイムズの著名コラムニストは、2010年に掲載したコラムで、この運動はアメリカ国内経済の低迷による景気後退を背景に、既成政治への不満や閉め出された不満分子の受け皿となったと背景を指摘した。その上で彼はこの運動を今後10年を特徴付ける政治運動となる可能性があると述べ、ティーパーティーがいずれ共和党を支配するだろうと予想した。

もちろん、ティーパーティー運動の関係者が全員共和党を支持しているわけではなく、支持する政策が合致する候補者を支援すると答える人が大部分を占める。しかしこの運動の主宰者の中には

「ティーパーティーは共和党に従属するような関係を望んでいるわけではなく、我々は共和党を敵対買収するつもりだ」

と発言するものもいることから、この精力が共和党を乗っ取るのでないかという見方がかねてから有力視されていた。今回(2016年)の大統領選において、ティーパーティーが積極的に支持するドナルド・トランプが旋風を巻き起こしていることから、彼らの予想は見事に的中したといえる。トランプ候補は、共和党候補者として出馬しているが、彼の外交政策が、共和党の伝統的な政策と全く異なっていることから、共和党の重鎮と言われる政治家を中心に、彼を共和党の大統領候補にするのを阻止しようという動きが急速に高まっている。しかしトランプを支持する共和党員は、この動きに対し猛烈に反発する姿勢を見せている。そのためアメリカのメディア関係者及びアメリカ政治の研究者からは、最終的に共和党は、彼らタカ派の極右勢力に乗っ取られてしまうのではないか、という意見を持っている人も少なくない。

ニューヨークやワシントン、サンフランシスコなどの海岸部や都市圏から発信されるメディア記事だけで、アメリカの国内情勢を判断すると大やけどする。オバマ当選は、まだ少なからず残っているアメリカ有識層が決起した結果でもある。だが宗教右派・原理主義者といわれている連中は、金集めのための財団だけでなく、自前の教育機関(研究所、大学などの各種学校)と報道機関(新聞・テレビ・ラジオ)を持ち、その傘下に信徒団体(教会・集会所・各種団体)を持っているので、政権が右から左に変わっても、民衆の性格は簡単に変わらないだろうというというのが著者が出した結論だ。この本は、カルト宗教が力を持つアメリカの暗部を暴露しているといえるだろう。彼らは今回の大統領選で、どのような投票行動をとるのか?そして自分たちの胃に染まらない候補が大統領に就任し続けたら、どのようなるのか?考えただけでゾッとするといわざるを得ない。

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「2016年1月の読書リスト」

あ・あ・あ……や〜れやれ、という感じである。

TPP推進など、安倍内閣の経済政策の司令塔として動いていた甘利明・内閣府特命担当大臣が、不祥事で大臣辞任に追い込まれた。不祥事の規模からいっても、これまでだったら内閣総辞職レベル、それでなくても衆議院を解散してもおかしくないほどの大スキャンダルなのに、なぜか「内閣支持率」の数字が上がっているというのだから、本当にわけがわからない。国民は、本当にこの政権の政策を支持しているのだろうか?それとも夜ごと安倍と会食している「大メディア」幹部の以降を、現場の記者が忖度した結果なのだろうか?前者だったら、戦後70周年書けて政府が施してきた愚民化政策の成果であり、後者だとしたら、メディアの堕落腐敗ぶりもここまで来たのか、と嘆息せずにいられなくなる。

それでは野党や市民運動サイドはどうなのか…というと「頭にくる」を通り越し、ただただ絶句するのみである。

野党五党(民主・維新の会・生活・共産・社民。もちろん「おおさか維新の会」は野党じゃないからね)は、この夏に行われる参議院選挙で「野党統一候補」を擁立して、安倍政権に対抗するといっている。だがその中心となるべく民主党の姿勢が、いつまでたっても定まらない。参議院選の最大のテーマは、誰がどう見ても「改憲」「反原発」のはずである。ところが新潟では、一度「野党統一候補」を建てるつもりで動いてはずの民主党が、態度を一転して自党から候補を擁立することを決めてしまった。その背景には、原発再稼働に固執する電力労連の意向を受けた「連合」が、脱原発を公約に掲げる候補者の支援を拒否したからだ。心ある一は安倍総理を「KY」というが、本当の「KY」はこいつsらなのでは?と思ってしまう。

そして市民運動の側を見たら、こちらも「何だかな〜_| ̄|○」と、こちらの気持ちが萎えてしまいそうな記事を見てしまった。

こちらの記事では瀬戸内寂聴とSEALDsのメンバーが対談しているが、どう見ても彼らには弱者に寄り添う姿勢が見えてこない。

「自分たちは社会に役に立つ活動をしていまーす!うふふっ」

という雰囲気漂うこの対談、瀬戸内寂聴はしきりに恋愛を話題にしているけれど、貧乏な男性にとっては戦争があろうとなかろうと、恋愛する権利も余裕もないのだよ。彼女たちには、自分たちよりも生活レベルも知性も低い男性のことなんか、おおよそ眼中にないだろう。安倍内閣の支持率がなかなか下がらないのも、低学歴層がインテリ層に対する恨み辛みを、安倍政権が晴らしてくれると思っているからに違いない。彼らにとっては「反戦」よりも「バカにされてきた自分たちの自尊心を回復すること」を優先するのだろう。

さて、先月読んだ本の紹介。

先月はそうでもないが、ここ最近は経済や自然科学、そして哲学に関心がある。来月以降は、これらの分野の本を紹介することが多くなるだろう、と宣言しておく。

生きさせろ! 難民化する若者たち生きさせろ! 難民化する若者たち

読了日:1月1日 著者:雨宮処凛
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈中編〉 (ハルキ文庫)時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈中編〉 (ハルキ文庫

読了日:1月3日 著者:眉村卓
戦争に強くなる本 入門・太平洋戦争―どの本を読み、どんな知識を身につけるべきか戦争に強くなる本 入門・太平洋戦争―どの本を読み、どんな知識を身につけるべきか

読了日:1月9日 著者:林信吾
紛争の心理学―融合の炎のワーク (講談社現代新書)紛争の心理学―融合の炎のワーク (講談社現代新書)

読了日:1月13日 著者:アーノルドミンデル
セックスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業セックスと恋愛の経済学: 超名門ブリティッシュ・コロンビア大学講師の人気授業

読了日:1月14日 著者:マリナアドシェイド
恋よりブタカン!: 池谷美咲の演劇部日誌 (新潮文庫nex)恋よりブタカン!: 池谷美咲の演劇部日誌 (新潮文庫nex)

読了日:1月20日 著者:青柳碧人
モア・リポートNOW〈3〉からだと性の大百科 (集英社文庫)モア・リポートNOW〈3〉からだと性の大百科 (集英社文庫)

読了日:1月25日 著者:モアリポート班
ちはやふる(30) (BE LOVE KC)ちはやふる(30) (BE LOVE KC)

読了日:1月26日 著者:末次由紀
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈後編〉 (ハルキ文庫)時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈後編〉 (ハルキ文庫)

読了日:1月30日 著者:眉村卓
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生きさせろ!難民化する若者たち

リストに登録していると思っていたけど、登録していなかったので改めて登録する。よって、今年最初にに読了した本でないことを、あらかじめお断りしておく。

今から9年前に発行され、後に文庫化(ちくま文庫)されたが、今の雇用情勢は当時より悪化している。本書では「労基署は何もやってくれない」と訴えているが、今や労基署の窓口で失業者に対応する職員も、そのほとんどが「非正規社員」である。安倍政権は発足以来、国会で「自民党政権になって以来、雇用情勢は回復している」と強調するが、雇用が増えているのは「非正規社員」であり「正社員」は減少傾向が止まらない。工場の多くが非正規社員になったことで、日本企業の技術力は完全に失われた。

とある投資家が「日刊ゲンダイ」に執筆しているコラムで

「スーパーの『ダイエー』が凋落したのは、人件費を削ったからだ。パート社員が売り場の主力を占めていたのに、彼ら彼女らの勤務時間を削ったために、彼らは一斉に退職した。結果として売り場が荒れ、それが業績低迷につながった」

と書いていたが、その通りだと思う。正当な仕事に見合う真っ当な評価を下す経営者が増加しない限り、日本経済の復活はありえないと思うのは、私だけではあるまい。

時空(とき)の旅人-とらえられたスクールバスー

(中巻)

この本も登録が今月になっただけで、年末ギリギリに読了している。

本作は、‘70~’80年代にかけて一世を風靡したSF作家・眉村卓の作品の一つである。

スクールバスを乗っ取った少年曰く「性能の悪い」タイムマシンをつけたスクールバスは、昭和15年で特高警察にマークされている大学助教授が新たにメンバーに加わり、幕末動乱期→関ヶ原の戦いを経て、少年が目指す戦国時代に到着した。そして、じょじょに明らかになる「時間管理局」の実態。管理局員の本当の狙いは、少年の追跡以外に何か目的あるのではないか?と思わせる描写があちこちにちりばめられている。そして彼らが到着したのは、日本人なら誰でも知っているはずの歴史的大事件だった。彼らは時間をさかのぼる途中でとある武士と知り合い、その時代まで一緒に同行することになるが、彼の狙いはこの大事件を阻止することにあった…。

「戦争に強くなる本 入門・太平洋戦争―どの本を読み、どんな知識を身につけるべきか」

ひょっとして「この本も、リストに入れていなかっただけだろう?」と突っ込む来訪者のみなさんへ。はいそうです。この本も、リストに入れてませんでした_(_^_)_

この記事にもあるとおり、本書では小林よしのりをクソミソに貶している。それでは当の本人は反省しているのかというと…このブログ記事を見る限り、どうもそのようには見えない。彼がそもそも安倍政権がしゃかりきになって制定した「安保法制」に反対したのは「英米と一緒になって侵略戦争に加担するのがイヤ」なのであって、戦争そのものを否定しているわけではなさそうだ。北朝鮮が核武装に固執しているのは、あえてここではいわないでおく。だがその視点が小林だけでなく、安倍政権や「安全保障専門家」から窺えないのはどうしてか?安倍晋三は北朝鮮問題について聞かれる度に、なんとかの一つ覚えのように「対話と圧力」と答える。しかし端から見ると、この政権は北朝鮮と一戦交えたいという狙いがミエミエで、考えるだに怖ろしくなる。ミサイルを発射し、狙い通りに北朝鮮の政権が崩壊したとしよう。だがその結果何が起こるのか?その視点がまるでないのが一番怖いのだ。

紛争の心理学ー融合の炎のワーク

ここから、今年読了した本になる。

この本は「心理学」というタイトルがついてはいるが、本書で取り上げられている内容は、従来の「心理学」だけではなく、社会学・政治学・人類学・文化学・ジェンダーなど複数の視点を持たない読者には、理解するのは困難である。本書が発行された時期が、あの忌まわしい事件「9.11」直後ということもあり、書店でこの本を手にとってページをめくったり、興味を持って購入した人も多いだろう。私もその一人である。

彼は本書では繰り返し「対立が厳しい世界こそ対話が必要だ」と説く。彼は世間で「テロリスト」と呼ばれている人たちについて「社会で抑圧されている人々」と表現し、彼らから「敵」と認定されている我々は、彼らから見れば強い立場にある人間である事を忘れてはならないと主張する・そして対話を主導する立場にある人も、強い立場にある事を忘れてはいけないのだと述べる。おそらく世界中でテロ事件を起こしている「イスラム国(IS)」も、おそらく「自分たち以外の人間はみんな敵だ」という論理で行動しているのだろう。彼らとの対話が成立するのかは、はっきり言ってわからない。だからこそ彼らみたいな人間を、本気で対話の席に引っ張り出す手段を考えるべきなのだ。報復爆撃だけでは、この争いが終わることはないだろう。

セックスと恋愛の経済学

経済学の理論を用いて「SEX」と「恋愛」行動について読み解こうという、野心的な経済学の本。日本では「草食男子」「肉食女子」という概念が定着して久しいが、海の向こうでもそうだったのね。そして、男子に一定の経済力を求めるのも万国共通なのね。私みたいな「中年フリーター」は、読んでいて精神が鬱状態になってしまったわい。恋愛傾向が人種によって大きく違うのは「ああ、やっぱりね」と思ってしまう。経済力が高い階層ほどいい教育を受けられ、低ければ低いほど、まともかつ真っ当な教育を受ける機会が低い現実を、この本でもイヤというほど認識させられる。だが残念ながら、この本では「貧乏な人間が、どうやって恋愛を楽しめばいいのか」という視点では書かれていない。貧乏人は恋愛を楽しむな、ということなのだろうか。

恋よりブタカン~池谷美咲の演劇部日誌~

「浜村渚の計算ノートシリーズ」でおなじみの青柳碧人による新シリーズの2冊目。なぜ2冊目を紹介するのかというと、ただ単に1冊目が地元の書店で手に入らなかっただけ。「GOSICK」(桜庭一樹)の大ヒット以降、ミステリー×ラノベの分野にまたがる作品が多数見られるようになったが、本作もその流れを汲む一つである。本作の舞台は高校の演劇部、この設定は大ベストセラー「幕が上がる」を意識したものだろうか?作中においてふんだんに演劇用語をちりばめているが、その割に心の中に響いてこないのはどういうわけか?肝心のミステリーの推理も、どこか唐突感が否めないんだよな。それなりに伏線をはってはいるけれどね。

モア・リポートNow(3)からだと性の大百科

モアリポートNow三分冊の最終刊。先に刊行された二巻が「社会学」的な雰囲気を持っているのに対し、こちらは入門者向けの医学書という雰囲気を持っている。生理のメカニズムとリズム、妊娠、中絶、そして性病のこと。女性ですら先記のことをよくわかっていないのだから、異性である男性はなおさらだろう。「性病」の項目で、AIDSについて詳述しているところに時代性(本巻の刊行は1987年)を感じる。今でこそエイズとのつきあい方が判明しているが、この時代は「死に至る病」と認識されていたのだ。後半に収録されている、女性特有の悩みに専門家が回答する項目では、人によっては「上から目線だ」と感じる人も多いだろう。書籍版刊行から約30年経過したが、女性が抱えている問題も、そして彼女らが抱える理解しようという姿勢を見せない男性が相変わらず多いという事実を、男性は同理解したらいいのか?とはいえ恋愛に興味を示さない(したくてもできない)男性にとっては、これらの問題は他人事としか感じないだろう。

ちはやふる(30)

2016年初のコミック。

今春に「上の句」「下の句」の二本立てで映画化される本作も、いよいよ30の大台に到達した。真冬であるにもかかわらず、真夏に開催されるイベントのことについて書かれた作品を読むことに違和感を覚えるというヤボはいいっこなし。高3になる千早たちにとって、今度の大会が仲間たちと迎える最後の大会。千早の顔には、自分たちが後輩たちのために道を切り開くんだという意気込みや、本来ならいるべき人間がそばにいない寂しげな表情が垣間見える。そして本巻は「かるた=文化系」であるというイメージを見事にぶち壊してくれる場。「競技」という二文字がつくだけあり、そのトレーニング内容は運動部顔負けのメニューがてんこ盛り。そして迎えた準決勝。その結末やいかに?

時空(とき)の旅人-とらえられたスクールバスー

(下巻)

ハラハラドキドキの展開が続いていたこの物語も、この巻をもってめでたく決着。このままだと、大事件として語り継がれるはずの出来事が「なかったこと」にされてしまう。それを避けるべく東奔西走する主人公たちだが、思わぬ自体が彼らを待っていた。「事件が起きなかった」時間軸から「時間管理局」メンバーに襲撃され、彼らは窮地に陥る。命からがら逃げ回る彼らに、思わぬところから救いの手が差し伸べられる。交錯する時間軸の前に混乱するメンバー。事件は解決するが、時間軸がずれたことで、彼らが負われる原因となった人間が「いなかった」ことになる。そしてやってくる別れの時。戦国時代に残ったメンバーが、その後どんな人生を送ったかはあえて明記されないが、その選択に後悔はないということを信じたい。現代に無事帰還したメンバーは、現代だったらネットで袋だたきに遭うだろう。作者が今同じテーマを取り上げたら、たぶん結末は違っていただろう。

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「2015年11月の読書リスト」

あああ、今年も終わってしまう。

生活が楽になる見通しもない。もちろん、私みたいな生活力に乏しい「中年男子フリーター」みたいな人間に恋を囁く、奇特なオンナもありゃしない。

遊びたくても、オシャレをしたくても、はたまた諸々の活動をしたくても、先立つものがなければできないものである。

いやいや、仮に先立つものがあったとしても「頭が悪い」「いい年こいた人間である」というだけで、NGOだのいろんな活動から爪弾きされる人間は存在する。

SEALDsはじめいろんな「ワカモノ団体」が活動をしているが、彼らが「仲間」と認めているのは、自分と同世代の人間か、あるいは自分と同等、それ以上の能力を持っている人間だけである。これらの活動に興味を持っている人にご忠告。あまり能力がないのにこれらの活動に関わっても、ちっとも面白くない。意見を言っても他の会員からバカにされるのがオチだし、最悪会費だけ取られて、意見はまるで通らない、ということも大いにあり得る。

そんな私は、今年のクリスマスも「シングルベルで苦しみます」確定である。

さて、今月読んだ本の紹介。

コミックを1冊も読まなかったのはこれまであったかな?記憶にないのだが……

 

小澤征爾さんと、音楽について話をする (新潮文庫)小澤征爾さんと、音楽について話をする (新潮文庫)

読了日:11月11日 著者:小澤征爾,村上春樹
モア・リポートNOW〈1〉性を語る 33人の女性の現実 (集英社文庫)モア・リポートNOW〈1〉性を語る 33人の女性の現実 (集英社文庫)

読了日:11月12日 著者:
経済学がわかる。 (アエラムック (1))経済学がわかる。 (アエラムック (1))

読了日:11月19日 著者:
声優魂 (星海社新書)声優魂 (星海社新書)

読了日:11月20日 著者:大塚明夫
時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈前編〉 (ハルキ文庫)時空(とき)の旅人―とらえられたスクールバス〈前編〉 (ハルキ文庫)

読了日:11月26日 著者:眉村卓
モア・リポートNOW〈2〉女と男 愛とセックスの関係 (集英社文庫)モア・リポートNOW〈2〉女と男 愛とセックスの関係 (集英社文庫)

読了日:11月28日 著者:

小澤征爾さんと、音楽について話をする

小澤征爾と村上春樹という、クラシック音楽と文壇の巨人による対談集。「マーラー」「オペラ」「バーンスタイン」「グレン・グールド」というテーマについて、二人は縦横無尽に語り尽くす。あるときはレコードを聴きながら、あるときは村上の仕事場で。この二人にとって、バーンスタインの存在は大きいようだ。小澤征爾の若手音楽家に接する姿勢やリハーサルの仕方は、ほとんどバーンスタインのやり方をまねていると言っていいだろう。文庫化にあたり、日本を代表するジャズ・ピアニスト大西順子が、小澤指揮のサイトウ・キネン・オーケストラと2013年9月に共演したときの顛末が追加収録されている。 大西はこの公演の直前に引退を表明し。音楽とは関係ない仕事に就くことが決まっていた。ところがこの演奏を引き受けたことで、彼女はその仕事を断られてしまう。村上は淡々と事実をふり返るが、おそらく内心では、彼女ほどの実績を持つ人間が正当に評価されていないという憤りを感じているに違いない。

モア・リポートnow(1)性を語る33人の女性の現実

1980年・1981年に実施された「モア・リポート」の第二弾。1987年に実施されたアンケートには、13~61歳の1987人から回答が寄せられた。質問項目は47件と、前回よりは多いかな。影響を受けたものについて「モア・リポート」をあげる人をちらほらを見かけたのは、それだけ「モア・リポート」での質問項目が、社会に与えた影響が大きかったということなのだろうか。前回同様周囲の無理解、夫のSEXに不満を持つ女性が多数。第1回アンケートでも思ったが、女性も普通にオナニーをするのだな。それで普通に快楽を得ている人が多数いることを、世の男性はどれほど知っているのだろうか。この本を読んだあとに街中を闊歩している「キャリア女性」の姿を見ると、人知れずオナニーをしているのか?と邪な創造をしてしまう。こんな私は変態だろうか?「自分はお金のために結婚した」という女性が登場したのも、時代を感じさせる。====

経済学がわかる

1990年代~2000年代初頭に賭けて刊行された「AERAムック わかるシリーズ」の第1巻。折に触れて何度も何度も読み返しているが、読むたびに新しい知見を得られる本はそうそうない。この本はそんな一冊である。そして何度読み返しても最初に来る感想は「経済って、やっぱりわかりにくい」ということ。わかりにくいのも当然、現代経済学で頻繁に使われている言葉の大部分は、物理学で使われる用語が多いのだそうだ。そう考えれば現代経済の理論の多くも、物理と密接な関係がある数学の理論を使って分析される事象が多いことに納得できるだろう。こうなると経済学は「文系」?それとも「理系」?いいえ「文系」も「理系」もどちらからでもアプローチが可能な、立派な学際学であると考えただけでも、どこか胸がわくわくしませんか?今から20年前の第一線の経済学者が何を考えていたかを知りたい人にはお勧めしたい。もっともこの一冊で「経済学がわかる」ようにはならないのがつらいが(苦笑)

声優魂

声優界の大御所・大塚明夫が声優業界の現状及び、声優志望者に対する覚悟があるのかどうかを語った書。「声優だけはやめておけ」というキャッチコピーや、本書の中で延々と述べられる、自慢話が混じった説教にむかっと来る人も多いだろう。しかしここは目をつぶって30年以上にわたり、この業界で悪戦苦闘してきた彼の話にじっくりと耳を傾けて欲しい。この業界は「ハイリスク・ローリターン」であり、それ故腹が据わった、覚悟を持った人間以外は絶対のぞいてはいけない業界である事がわかるだろう。逆の見方をすれば、安直に対した努力をしないでスターになりたいと思っている「若手声優」や「自称『声優』」「声優の卵」に対する苦言と諫言が混じった一冊ともとれる。そして忘れてはならないのは「声優」も「俳優」なのだということ。「他人」を演じるということは、生半可な覚悟ではできないということなのだ。タイトルこそ「声優」という名がついているが、この本は一種の哲学論であり、人生論でもあるともいえる。本気で声優を目指したいのであれば、彼が吐く魂のこもった言葉の数々に耳を傾けて欲しい。

時空(とき)の旅人ーとらわれたスクールバスー(上巻)

日本を代表するSF作家眉村卓が1981~83年に発表した「とらわれたスクールバス」を、1986年にアニメ化する際に改題して再発行した作品。サイトに掲載されている写真は「ハルキ文庫」から発行された書籍だが、私が今手元にあるのは1980年代に角川文庫から発行された、萩尾望都がキャラクターデザインした表紙である。奥付を見ると「昭和61年発行」という懐かしい日付が。そう、この本はあの悪名高い「消費税」というのが存在しなかった時代に私が購入した本なのだ~…などと感興に浸っている場合じゃないなw

物語は22世紀からやってきたという少年が、主人公たちが通う学校のスクールバスにあやしげな装置を取り付け、これを操作するところからはじまる。彼はあることで当局から追われており、戦国時代に逃れるのだという。たまたまバスに乗り合わせていた生徒たちは少年の不遜な物言いに反発を覚えるが、彼と一緒に現代→戦時中→昭和15年→幕末と時間旅行をするうちに、奇妙な連帯感が目覚める。上巻に出てくる時代は、現代でいえば「空気を読まない人間は仲間はずれにするぞ」という雰囲気が強かった時代だが、これは少年が過去に逃げようとする原因である。さて、その理由とは?昭和15年からの時間旅行は、「危険思想の持ち主」として当局から指弾されていた社会学者が、彼らの指南役として加わる。彼らの時間旅行の行方はいかに?

モア・リポートnow(2)女と男 愛とセックスの関係

3分冊で文庫本化された「モア・リポートnow」の第二弾。前回のアンケートから7年経つが、夫・恋人のSEXについての不満は尽きることがない。「夫とのSEXより、それ以外との男性とのセックスの方が燃えるし気持ちがいい」という意見がある一方で、愛情に裏付けされたセックスを求める女性の声が目立つようになってきたこと。そして前回はわりと興味本位でセックスの話題を取り上げたが、今回のアンケートでは、社会学的な視座から「男と女」「愛とSEXの関係」を考察しようという視点が見られること。その心意気は立派だとは思うが、見方によっては編集死の主観的な視点が混ざっていると思われるところも見られる。あなたはSEXに「愛情は必要」だと思いますか?因みに、管理人は別に愛情がなくてもSEXはできると思っているは。理由は、「愛」だけでは生活が成り立たないと思っているから。こんな私は異常だろうか?

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2015年9月の読書リスト

国民の猛烈な抵抗を押し切り、とうとう希代の悪法「安保法案」は成立してしまった。

与党はこの法案の成立のために、これまで丁寧に積み重ねてきた、国会内での管領や必要事項を無視するという暴挙。SEALDsを中止とした反対派も成立間際まで反対の声を上げつつけた。しかし「8.30」デモに驚愕した官邸サイドは、警察当局に圧力をかけて、デモ隊が国会前の道路を占領しないように警察車両を配備した。当然のことながら、当局の対応に反対の怒りのボルテージは高まる一方である。

それにしても、野党のだらしのないことよ。安保法案の採決に先だって行われた、内閣不信任案におけるフィリバスターは2時間以上に及んだが、所轄大臣の問責決議案は結局提出せず。参議院に至っては、巨大与党によってフィリバスターは阻止され、ならば牛歩戦術をとればいいのにそれもしない。山本太郎が一人律儀に牛歩を実行し、閣僚席及び自民党議員団の席に向かって、嫌みたらしく喪服姿でお焼香のパフォーマンスをやったのみ。彼は反対票を投じる際

「組織票のために政治をするのか!良心は痛まないのか!」

と叫んでも自民党議員団はこれを無視。野党議員の「憲法違反」という叫び声が空しく響く中、法案は成立してしまった。

先週末で国会が閉会したため、現在の政治報道は休戦モードが漂う。おそらく政権幹部は「人の噂はなんとやら」ではないが、しばらくしたら国民の怒りは静まると高をくくっているに違いない。国民の怒りが本当に収まったのかどうかは、11月に開催される予定の臨時国会が開会するときにわかるだろう。

それでは、先月読んだ本の紹介である。

 

愛国の作法 (朝日新書)愛国の作法 (朝日新書)

読了日:9月4日 著者:姜尚中
モア・リポート 女たちの生と性/新しいセクシュアリティを求めて (集英社文庫)モア・リポート 女たちの生と性/新しいセクシュアリティを求めて (集英社文庫)

読了日:9月10日 著者:
新装版 なんとなく、クリスタル (河出文庫)新装版 なんとなく、クリスタル (河出文庫)

読了日:9月14日 著者:田中康夫
映画時評2009-2011映画時評2009-2011

読了日:9月24日 著者:蓮實重彦

愛国の作法

この本が発行されたのは、足かけ5年にわたった小泉政権が退陣し安倍内閣(第一次)が発足した時代である。小泉元首相は2005年の終戦記念日に靖国神社に公式参拝し、安倍総理が「美しき国へ」という著書を発行するなど、世間は右傾化の雰囲気が漂っていた。本書はその雰囲気に抗うかのごとく出版されたものである。この本の一番の難点は、その難解な文章にある。問題点を指摘しようという意欲は買うが、表現がわかりにくくて何が言いたいのかわからないところがある。読みこなすには、政治思想史や哲学、日本近代史・現代史の知識がないと、理解するのは難しいだろう。====

モア・リポートー女たちのあたらしい生と性

高級女性誌「MORE」編集部が、1980~1881年に行ったアンケートを基に発行された単行本の文庫化。単行本発行時のキャッチコピーは「今、女たちが自らの口で『性』を語りはじめた」というものだったが、その内容の生々しさは、当時の出版界に大きな衝撃を与えた。というのも、このアンケートを実施した「MORE」は「ファッション雑誌」で、そのような特集を載せるとは思われていなかったからである。

その内容は、今呼んでみても本当に生々しい。一読して感じることは、男性がいかに女性の身体のことを理解していないか、ということ。そして「SEX」というのは汚らわしいものではなく、男と女のコミュニケーションの一種として捉えて欲しいと思っている女性が、思っていたよりも多いということである。あれから30数年経ち、世間のSEXに対する認識はかなり変わったと思っている。そして、勇気を出してこのアンケートに協力してくれた女性たちに感謝したい。

なお、この本については別に記事を書いたので、詳しくはこちらを参照してください。

なんとなく、クリスタル

「軽薄な作家が、軽薄な学生のことを書いた小説。何でこんな小説が『芥川賞』の候補になったのか、訳がわからない」それがこの本を読み終えた第一印象だった。一流大学に通う、セレブな階層に所属する女子大生が、誰もがうらやむような生活を送る様子を描く小説。格差社会の現代で、こんな小説を発表する作家がいたら、周囲から総スカンを食らうことは確実である。ところが、作者のあとがきを読んだとたん、その印象は一変した。彼によれば、自分で読みたい青春小説を書きたかったのだという。今まで彼が読んできた「青春小説」は、現代の大学生の実態とはあまりにもかけ離れていた。そのことに違和感を覚えた彼は、それだったら自分で、今の大学生が何を考え、どう思っているのかをみんなに知ってもらいたかったのだ。そういう意味では、この作品は’80年代を代表する小説といえるかも知れない。

映画時評 2009-2011

東京大学第26代総長にして、映画評論関係者から「希代の映画アジテーター」といわれる映画・文芸評論家蓮實重彦氏。本著は文芸誌「群像」に掲載された映画評論約40本、映画に関するエッセイ、そして立教大学での教え子である映画監督・青山真治とのインタビューで構成されている。深い知性と鋭い視点、そして豊かな教養から生み出される独特の文体は、一見するとやさしそうに見えるために、他の人間からはまねしやすい。しかしこの本を通読してみるとわかるように、一文一文がやたらと長いその文体は理解するのは難しく、読み手に高い知性と深い教養、そして広範な視点を要求する。取り上げられる話題は、映画の裏話だけに止まらず高度な撮影技法まで幅広く、さらにその技法がどんな意味を持つのか、どんな背景があるのかを語る。この本にも書いているが、彼は一生かかっても観られないほどの映画DVDを持ち、さらにBSで放映された映画まで録画しているというから、ここまでくると「マニア」というより「中毒」と言っていいほどである。そこには、映画に対する彼の深い愛が垣間見える。この本を読んで、彼の専門である文藝評論も読んでみたくなった。そこでは、どんな思考が展開されているのか興味がある。

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2015年8月の読書リスト

2015年8月30日は、日本の市民運の歴史に、新たな1ページを加えることになるだろう。

当日は時折小雨交じりになるという悪天候にもかかわらず、老若男女12万人が国会に集結した。もちろん「安保法案廃案!」を叫ぶために。雨が降っても10万人以上が集結したら、好天だったら30万人がやってきたはずである。そして延べ人数も、途方もない数値になっていただろう。

そこでは坂本龍一が、園子温が、そして実際の戦争を体験している森村誠一らが、口々にこの法案の不当性・違憲性を訴えた。

会場では4野党の党首が同じ壇上で手を繋いで並び団結をアピールした。彼らの怒りの前に、警察が敷いた規制体制は、あっという間に崩壊した。この様子を観察していたデモ主宰者や野党議員は、延べ人数の参加者は35万人と推計している。にもかかわらず、政権サイドは「デモ参加者は3万人」と言い張り、彼らに尻尾を振る大メディアも、このデモを矮小化しようと必死である。海外メディアの多くは、このデモを「日本の政治史に残る出来事」と報道する反面、これだけの人数が集まったにもかかわらず、きちんと事実を報道しようとしない日本のメディアの姿勢に違和感を感じたのではないか?

2003年、イラク戦争反対デモを叫ぶために集まった人たちは約5万人。それでも当時は近年最多といわれていたものだ。ブロードバンドの普及で大量にメールが行き交い、ネットのおかげで人々が簡単につながるようになったといわれていたが、当時はメーリングリストで交わされる情報が頼みだった。だが今はTwitterやFacebookに加え、動画サイトによるネット中継が普及したことで、情報があっという間に広がる時代である。と同時に、伝えるべきことを伝えようとしないメディアに対する不信感も、時間の経過とともに募っている。

そこへ持っていて、昨日はもと最高裁判所長官経験者が、この法案は違憲であると明言した。それでも、自民党はこの法案成立に突っ走るんだろうか?

さて、先月読んだ本の紹介。期せずして、今月読んだマンガ以外の本は、作者が外国人である。

ジャズ喫茶論 戦後の日本文化を歩くジャズ喫茶論 戦後の日本文化を歩く

読了日:8月10日 著者:マイク・モラスキー
進撃の巨人(17) (講談社コミックス)進撃の巨人(17) (講談社コミックス)

読了日:8月13日 著者:諫山創
ちはやふる(28) (BE LOVE KC)ちはやふる(28) (BE LOVE KC)

読了日:8月21日 著者:末次由紀
101回目の夜―Just do it.No excuses!101回目の夜―Just do it.No excuses!

読了日:8月21日 著者:ダグラス・ブラウン
本を読む本 (講談社学術文庫)本を読む本 (講談社学術文庫)

読了日:8月28日 著者:J・モーティマー・アドラー,V・チャールズ・ドーレン
読書メーター

ジャズ喫茶論

戦後の日本文化を歩く日本における「ジャズ喫茶」の過去と現在を、社会学の視点から考察した一冊である。一番の特徴は、地方にある「ジャズ喫茶」を丹念に取材し、そこのマスターと、地方におけるジャズ文化の受容の様子を記載していることである。戦前の日本のジャズ喫茶にやってくる顧客の大部分は、当時はやっていたダンスホールからの顧客が大部分だったそうである。そのイメージが戦後まで残り、ジャズ喫茶にたむろしている高校生たちは「不良」というイメージで見られていた。学生運動が華やかし頃の1960~70年代は、若者からジャズは「反体制」の象徴として捉えられ、戦後~高度成長期のジャズ喫茶では、店内では「私語禁止」という暗黙のルールが存在していたことを知る人は、どのくらいいるのか知りたい。====

進撃の巨人(17)

16巻後半からの怒濤の展開を経て、このお話もいよいよ先が見えてきた、と思っていたのだが…

自らの手で過去の因縁を断ち切ったヒストリア(クリスタ)は「人類に君臨する女王」として、困難に立ち向かう覚悟を固める。「調査兵団のお飾り」と揶揄されつつも、自分のやりたいことを自らの手で切り開いていくヒストリア。そこには自らを「いい子」だけと蔑んでいた姿はもうない。クリスタ、君は強くなったよ。彼女の成長は、ファンとして嬉しい限りである。

だがこの話は、まだまだ一波乱も二波乱もありそうな予感。何よりライナーらの謎が解明されていないし、エレンの実家の地下室の秘密も残っている。そして、最終ページに出てくるあの巨人の正体は…

101回目の夜ーJust do it. No excuses!

セックスレスの夫婦が増えているという話を聞いたジャーナリストがその話を妻にしたところ、彼女から「それじゃ反対に、100日連続でSEXしたらどうなるだろう?」と提案され、それを実行した記録を書籍化したもの。扱うテーマがテーマだけにポルノ小説と誤解される方も多いだろうが(実際にポルノ・イベントの様子も書かれているが)、世間一般で思われている「ポルノ小説」ではなく、作者家族がどんな生活を送っているのかもきちんと描写されている。そのため見方によっては「文学」ではなく「ルポルタージュ」であると解釈することも可能だろう。具体的な性愛描写はさらりと流されているだけなので、その部分を物足りないと思う人もいるかも。なお本書に付帯している帯には「映画化決定!」という文字が大々的に躍っているが、2015年現在、海外で映画化が進んだという話は聞かない。

ちはやふる(28)

一緒にかるた部を引っ張ってきた太一の退部という事実を受け入れられず、自身も休部してひたすら受験勉強に専念していた千早。おそらく彼女は、これを機にかるた部から抜けようと思っていたに違いない。しかし他の部員が一生懸命に活動している様子を目の当たりにした彼女は、やっぱり自分にはかるたしかないと思ったのだろう。東京都予選直前に電撃的に復帰を果たしたが、休部していたブランクは大きかった…。創設者不在の状況というハンディを克服したかに見えるかるた部メンバーだが、太一が抜けた穴はやっぱり大きかった…。メンバーは短期間でそれなりに成長しているが、それが「チーム」に還元されていないのがもどかしい。実は、千早は「かるたバカ」ではなく、ちゃんと勉強すればそれなりにいい成績がとれる生徒だということが判明する巻だったりする。

本を読む本

1940年に出版されて以来世界中で愛読されている書物で、読書論の分野では既に「古典的名著」と見なされているものである。著者が本作の中で繰り返しているのは「読書とは『著者との対話』である」ということ。なるほど、こんな考えがあることは想像できなかったな。著者にいわせれば、我々が普段やっていることは「初級読書」であり、著者のいいたいことを理解するためにはそれなりの技術がいるということなのだ。確かにこの本においても、著者のいいたいことをと完全に理解するためには、それなりの技術と広範な知識が要求される。海外の名画に「読書をする人」をテーマとする名作が数多くあるのも納得。それは読書の習慣が、ヨーロッパにおいて重要である事が認識されているからに他ならないからだ。

翻訳書故、読みづらさが多々ある事はどうしても否めない。それは外国書の著者の多くが「哲学」を思考べーすにしていることもあるが、翻訳書の多くが「漢文読み下し」の影響を受けていることを指摘する翻訳者・外山滋比古氏の指摘は、本文以上に興味深いものがあった。

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